採用最前線物語 – 34.問題発見能力を養おう


採用最前線物語

執筆:H.F

問題発見能力を養おう

学校ではやるべき事柄、範囲、時期がはじめから決まっていることがほとんどだ。教えるべきこと、経験させることなど、ほぼ毎年同様のことをくり返している組織である。

しかし、実社会の仕事は、そんなに前もって決められるものはない。仕事の中には、ほとんどマニュアル化できるようなものもあるが、そういうのは簡単な仕事であり、アルバイトを安く雇って一定の訓練の後に現場に回す。こういう仕事は、既に安い外国人労働者にどんどん置き換えられている。

実際の仕事は、マニュアル化が難しい。そもそも、どういうことが起きるかが予測できない。新規事業なら、なおさらだ。

何か起きたら、その場で考えて、適切に対処しなければいけないことが多い。お客の立場、企業の立場、社会常識などを考慮の上で判断しなければならないので、簡単ではない。総合判断が必要なところは、経営そのものとも言える。

些細な問題でも気がつき、被害が出る前に対処できる人がいる。逆に、明らかなトラブルが発生していても気がつかず、大きな被害が出てやっと問題を認識する人がいる。

トラブルが起きないように、事前に色々考えて対処しておくと、被害は少ないし、万一起きてもたいした被害にならない。体の健康診断と同じで、小さいうちに問題を発見することが重要だ。大問題になって大騒ぎをしていると、いかにも頑張って仕事をしているように周囲に見えるが、実はトラブル予防能力が低いだけである。そういう人間を評価してはならない。

前もって考えても、まず予想は当らないものだ。下手な先入観が強過ぎると、問題を自分の都合の良いように解釈し、トラブルを見逃してしまうことが少なくない。

世の中では、問題解決能力についていっぱい書かれているが、実は問題発見能力が重要だ。気がつかなければ問題解決などありえない。発見が遅れれば、解決能力があったにせよ、解決のためのコストが高くつく。早期発見、早期治療が重要だ。