囲碁を始めたのは大学生になってからだ。
田舎が非常に将棋の盛んな地域だったので、
将棋では誰にも勝てないという思いもあり、
また将棋は日本だけのもので国際性がないと思ったかどうかもはや記憶にないが、
とにかく囲碁を始めた。
最初は、本を買ってきて読んで、友達を引き込んでやっていた程度であったが、
やはりそれでは全然面白くない。といって、大学の囲碁部に入って修行するほど
熱心にはなれなかったし、囲碁部に入ったら最弱メンバーになってしまい、
それはそれで面白くない。
というので、本で勉強しては、たまに碁会所にいっていたが、
せっかく東京にいるのだから囲碁の総本山に行ってみようと思い立った。
あの『ヒカルの碁』でもよく出ている日本棋院本院である。
そこに行くと、段位級位認定大会というのがあって、たくさん勝つと上にいけるようだったので、
何級から参加したのか忘れたが、通い始めた。
さすがに最初のうちは簡単に上にいけた。
そして、初段戦になったが、初段以降は昇段が一気に厳しい。
それでも何とか連勝を重ねて、もうすぐ初段というところまでになった。
しかし、ちょうどそのころから忙しくなり、囲碁をやる暇がなくなってしまった。
久しぶりに認定大会に参加したら、連敗してしまった。
囲碁の勉強も怠ると実力が下がってしまうし、試合勘もなくなってしまうことを
身をもって体験し、そして囲碁の試合からは遠ざかってしまった。
コンピュータの世界に入り、囲碁のプログラムができると良いなと夢のようなことを考えて
何十年か過ごしてきた。
しかし、どうすれば強い囲碁プログラムが作れるのか、何の考えもまとまらないまま時は過ぎた。
最近は、簡単な囲碁のプログラムのソースは公開されていたり、
書籍になっているので、読んでみた。次の手をどこに打つかは非常に難しい。
将棋と比較するとはるかに自由度が高く、とりとめのがない。
プログラムを見ると、非常にいい加減な判断で打つようになっていたが、
それでも広い所に打つ、相手の石と自分の石との位置関係を考えてある式が最大になるように
するとか、乱数を使ってある程度でたらめにするとかあったが、まれに良い手を打つようだった。
しかし、囲碁は、途中で下手な手を一手でも打てば、取り返すのは困難で、勝負が決まってしまう。
最近は、パソコンの囲碁プログラムも1万円位出せばかなり強くなってきたようだ。
先日、アメリカ囲碁協会で、プロとコンピュータ囲碁プログラムとの対戦があった。
まだ到底対等に戦うのは無理で、コンピュータが9つも黒石を置くというハンディ戦
だったが、コンピュータが確実に勝ちだしたのである。
この実力は、アマチュアの二段程度ということだった。
ということは、私が対戦すると、もしかして負けるかも知れない。
コンピュータ囲碁だけではなく、人間のプロにも会っておかねばと思っていたら、
なんと結婚式で日本棋院の理事に会ってしまった。
相手方は、なんと本因坊家の血筋らしい。理事に挨拶したら、名刺をいただいた。
裏面には詰碁をその場で創作して渡せるように、碁盤の一部が印刷してあった。
今年の新春は、『ヒカルの碁』を体験したいとつい思ってしまい、
梅沢由香里の公開対局を見に行った。対戦相手は小学校3年の藤沢里奈ちゃん。
たった3つしか黒石を置かずに打って、里奈ちゃんが善戦した。
激しい、厳しい戦いで、妙手がやたらに出た。
ただ者ではない里奈ちゃんは、異常感覚の持ち主と言われた
藤沢秀行名誉棋聖の孫で、いつプロになるかが期待されているサラブレッド。
あまりにも自分との感性の差を感じ、「さて、仕事のプログラムに戻ろうか」
と思った次第である。