採用最前線物語 – 19.授業料と給与の差


採用最前線物語

執筆:H.F

授業料と給与の差

学生、院生の間は、お金を学校に支払っている。就職すると、逆にお金を受け取るようになる。授業料は、学校に対して支払うものだが、給与は、会社などから働いた対価として受け取るものだ。

学校では、学生はお客である。授業により知識などのサービスを受ける側だ。教官がサービスを与え、卒業できれば、きちんと能力がついたという証明をもらえることになっている。能力が本当にあるかどうか、ちゃんとした授業が行なわれているかどうかは別にして、基本的にはそうである。

学生の多くは、講義に出席するのは義務だと思い違いしている。出席する権利を、授業料を払うことで入手したのだ。いい加減な授業をしたり、休講したら抗議すべきなのだが、楽ができると思う者が多いようだ。本当は、サービスの低下、悪化に対して怒るべきだ。

就職すると、お金を受け取る側になる。就職しても、すぐに利益を産むような能力は普通はないのだが、それでも給与をもらえる立場になる。

企業にとって、お客さん、顧客とは、お金を支払ってくれる人、企業である。そういう顧客に対して、就職して従業員になった者は、顧客に対してサービス、労働、知識などを提供する。もちろん、直接顧客の相手をする場合もあるが、直接にはしないが、他の従業員へのサービスを通じて間接的に顧客へサービスすることもある。

新入社員であっても、顧客は会社の人という見方をする。注文したこと、要求したことに対して、ちゃんと対応してくれると思っている。対応が悪いと感じれば、顧客はさっさと別の会社へ鞍替えする。

企業は、顧客から受け取ったお金から、給与も含め様々な費用を捻出しているに過ぎない。顧客を十分に満足させて、より多くのお金を受け取れるようにならないことには、企業も発展しないし、給与も上がりようがない。

学生の間は結局はお客さんだが、就職して給与を受け取るようになったらもうお客さんではなく、お客さんにサービスする側になる。この差は意識しておくべきだ。