採用最前線物語 – 27.何をやりたいのでしょうか?


採用最前線物語

執筆:H.F

何をやりたいのでしょうか?

採用面接以外でも、色々な学生に会う機会がある。学部の3年とか、修士1年とかで、そろそろ就職を考えるころだと思う。多くの学生が、多数の業種や職種を列挙する。とくに多いのがマスコミ、コンサルだ。あるいは、自分の能力を生かせる職種に就きたいという。非常に曖昧で、とりとめがない。

こっちも長年社会人をやり、色々な業界、業種の人々と仕事をしてきたので、それぞれの大変な点など、それなりに知っている。それで、ツッコミを入れると、簡単に方針変更する学生がいる。

どんな業界へ行こうとも、どんな職種につこうとも、それぞれに色々な問題が起きるに決まっている。何も問題が起きない業界など、業界そのものが消滅してしまいそうで逆に恐い。

それに、どの業界にも、景気不景気の波がある。今、非常にもてはやされている業界は、今が絶頂期で、これから入社したのでは、下り坂に延々と付き合わされる可能性が十分にある。

要するに、何が起きるかなど、およそ予測できるものではない。大企業とて安泰ではないし、行政だって倒産する時代だ。「楽」ができる、あるいは「恰好良い」などの言葉で職業を選んでいるように思える人がかなりいる。

就職活動の本などを読むと、業界動向とか、適性とか色々書いていて、それに対して自己分析したりしているようだが、何かおかしくないだろうか?

あんな物を作ってみたいとか、あの人のようになりたいとか、もっと具体的なイメージはないのだろうか。あるいは、特定の技術や分野が好きで、それを生かせる仕事を選ばないのだろうか。

もしかして、そういう具体的なイメージが持てるほど、社会で人々がどういう風に働いてるか、製造、販売、サービスなどの仕事の現場を知らないのだろうか。

応募までには、何をやりたいかをできるだけ具体的に考えておいて欲しいものだ。面接や書類審査で「この人は何をやりたいのだろうか?」と考えなければいけない場合は、採用はまずあり得ない。