採用最前線物語 – 33.転職理由が重要視される


採用最前線物語

執筆:H.F

転職理由が重要視される

採用面接の多くは、中途採用者に対する面接だ。当社のような IT ベンチャーは、どこも最初から力を持った中堅社員の増員を望んでいる。

だから、IT ベンチャーへの門は、いつも開いていると思って間違いない。しかし、力を持った人、経験のある人を求めているので、だれでもが受け入れてもらえる訳ではない。

昨今は転職は珍しくない。当社が 5 社目、6 社目くらいの人も珍しくない。しかし、あまりに転職が激しいと、採用しても慣れて成果が出る前に飽きて辞めてしまう懸念がある。

面接で、転職理由は当然聞く。中途採用者に対する一番重要な質問だ。転職理由を繋げていくと、本人の仕事に対する考え方が分かってくる。全体が首尾一貫していれば、あまり転職回数は問題にならないが、いったい何をやりたいのかが分からない人は困る。

なぜか経営破綻する会社ばかり選んで転職をくり返している人がいる。よほど会社を見る目がないのか、もう少し就職先に対する鑑識能力を付けるべきだと思う。あまり酷い場合は、基本的な判断能力の欠如が考えられるので、丁重にお断わりしている。

転職すると、ほとんどの場合、仕事に断絶が発生するので、さまざまな面で不利なことがあるのはやむをえない。しかし、現状の仕事場でこれ以上続けてもどうにもならなくなったら、転職するしかないだろう。大切なのは、どのタイミングで転職するかだ。

転職で給与が上がるのは、特殊な才能を持っていて、それが転職先で生かせる場合に限られる。持てる能力を、今の職場で生かせず、転職で生かせるようになるなら、転職は望ましい。

しかし、多くの場合、そんなにうまくは行かない。現在の収入が維持できれば満足しなければいけないだろう。それよりも、職場を変え、環境を変えることで、心機一転し、新しいことにチャレンジし、自己の可能性を実現することだろう。それで実績が出れば、給与は当然上昇するだろう。