採用最前線物語 – 54.人脈こそ人生最大の財産


採用最前線物語

執筆:H.F

人脈こそ人生最大の財産

世の中は、非常に多種多様な考えの人々で成り立っている。そういう複雑で渾沌とした社会を知るには、様々な人と知り合うのが一番だ。

大学や特定の職場に居るだけだと、自分の周囲も同様の考えを持っている人々になってしまい、居心地は良いかもしれないが、実は脳は退化するしかない。コンピュータ技術者が、コンピュータの高度な内容を研究していても、それは頭のきわめて限られた部分を酷使しているだけに過ぎず、実際頭の体操にすらなっていない。

それより、まったく違う分野、違う年代、違う国籍など、異世界と思うような人の話を聞いたり、交流すると刺激になる。そういう、自分の専門分野とは違う人々と交流があることが、実は専門にも大いに役立つ。自分の専門を、今までの自分の考え方とは違う考え方、本や周囲人々とも違う考え方で見ることができるようになり、大きな進歩、発見が期待できる。

それよりも、はるかに大きい利点は人脈である。自分の所属する分野でいくら人脈を作っても、はかない。それでは、初めから『井の中の蛙』になり下がっている。

異世界と遭遇すると、最初は考えがよく分からないだろう。そこで、考えをちゃんと分かろうとすると、非常に苦労する。それより、色々な考えもあるものだな、と思うくらいが丁度よい。

今の社会、さまざまな集りがある。異業種交流会などと、初めからビジネスを意識し過ぎた会よりも、もっと訳の分からない会に顔を出したりする方が面白い。もちろん怪しい会もあるので、そういう場合には逃げよう。

ちゃんとした組織が行なっている、たいして金もかからない会合、交流会みたいなのはたくさんある。一番良いのは、趣味の集りだろう。こういう集りでは、大企業の役員も学生、平社員、すべて対等である。

親しくなって身分が分かって驚くことがある。最初から、利用しようとして相手の身分を知った上で近づこうとすると、必ず失敗する。何か共通のものがあって、しっかり意識が共有できる場合の人脈は非常に強固で、何十年も続く。そして、本当に困ったときに価値があるのはそういう人脈だけである。

会社のための人脈ではなく、会社、仕事が変っても続くような人脈を作ろう。会社と常に紐付けされる人脈では、面白くないではないか。