AI Innovation
人工知能には多くの手法があり、機械学習、ディープラーニング、ニューラルネットワークなどの用語をよく耳にするでしょう。
進化計算も人工知能の主要な手法の1つですが、異なる概念に基づいています。
生物は、長い進化の過程で、環境に合う子孫を残すことで最適化が行われ、驚異的な進化を遂げました。
この生物の進化のメカニズムをモデルにして、与えられた条件の中でデータを最適化する手法が進化計算です。
与えられた制約条件のもとで、元のデータ(個体)から交叉や突然変異により新たなデータを作ることを繰り返しながら、希望する状態に近づけていきます。
この過程は生物の進化と似た経過をたどりますが、十分な個体数や進化の時間(世代)が必要になります。
進化計算は50年以上前から研究が始まっていますが、十分なメモリや計算パワーがないと成果が上げられないため、長い間眠っていた技術です。
それが、近年のコンピュータの急激な性能向上により、実用的な手法として蘇り、様々な分野で利用されるようになりました。
実は、ナンプレをはじめ、多数のパズルの問題の自動生成が進化計算で可能なことを確かめました。
様々な特徴あるパズルの問題の自動生成の研究をすることにより、進化計算の技術を磨いてきました。
そして今は、進化計算の応用に取り組んでいます。
これは、チェス、将棋、囲碁のAIを研究することでAIが発達し、さまざまな問題の解決に使われるようになったのと同じ流れです。
最近は、進化計算向きのスケジュール作成、分配問題、時間割作成などの最適化を、実用レベルの規模で行うシステムの開発をしています。
成果の1つが、全国にある国立の工業高等専門学校の時間割の自動生成システムを進化計算により自動生成しました。
進化計算は応用分野が広いだけでなく、ディープラーニングなどの他の人工知能技法と組み合わせたり、対話的に進化を進めたりする研究が盛んです。
コンピュータの性能がさらに向上することで、ますます応用分野が拡大するでしょう。
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