アスクル、電気通信大学、タイムインターメディアが AIによる物流センター在庫配置最適化に向け、協働で実証実験を開始


2021年 12月 01日

2021年12月1日
アスクル株式会社
国立大学法人電気通信大学
株式会社タイムインターメディア

アスクル、電気通信大学、タイムインターメディアがAIによる物流センター在庫配置最適化に向け、協働で実証実験を開始

– AI(進化計算)の手法を用いたアルゴリズムの研究開発と高速化を推進。最適化し続けるシステム開発を目指す –

アスクル株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:吉岡晃、以下「アスクル」)、国立大学法人電気通信大学(本部:東京都調布市、学長:田野俊一、以下「電気通信大学」)および株式会社タイムインターメディア(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:大矢正典、以下「タイムインターメディア」)は本日12月1日(水)より、AI分野における進化計算(遺伝的アルゴリズム)(※1)の手法を用いて、物流センターの在庫配置最適化アルゴリズム開発のため協働で実証実験を開始します。アスクルと電気通信大学が在庫配置に関する最適化アルゴリズムを研究開発し、タイムインターメディアは同アルゴリズムの高速化の実現に取り組みます。

本実証実験は、アスクルが全国に物流センターを構えて在庫配置していることで、一つのオーダーにつき複数の物流センターからの出荷による荷物の個口別れ(※2)の発生を解消するために産学連携して行うものです。

電気通信大学情報理工学研究科情報学専攻の佐藤寛之准教授とアスクルは、2019年より物流センター在庫品の配置を最適化するアルゴリズム開発の共同研究に取り組み、進化計算の改良を重ねてきました。さらに、膨大な出荷実績データを対象とする進化計算の実現に必要な高速化についてはタイムインターメディアが協力することで、今回実証実験を開始する運びとなりました。

(※1) 生物の進化等を模した最適化手法
(※2) 注文商品が複数の物流センターから出荷され、届ける際複数個口になってしまうこと

進化計算による物流センター在庫配置の最適化を実現

昨今のEC 需要の急拡大に伴いアスクルの物流センターにおいても出荷量が増加していることから、物流センターの高度自動化を加速、あわせて生産性向上を図るため、積極的に物流現場のDXを促進しています。 アスクルでは従来、一つのオーダーに対しては無駄のないひと箱で受け取れるような出荷形態をとっていますが、全国9カ所の物流センターをまたぎ在庫している商品の影響で、複数の物流センターからの出荷により複数個口でお届けになる場合もあります。荷物を受け取るお客様の手間はもちろん、複数センターからの遠距離配送による配送費の増大も課題となります。

アスクルではこうした課題を解消するために2019年より電気通信大学で人工知能(AI)分野における進化計算アルゴリズムを研究している佐藤寛之准教授とともに、物流センター在庫品の配置を最適化するアルゴリズム開発の共同研究に取り組んできました。

物流センターの在庫容量や出荷能力、各商品の在庫量、膨大な出荷実績データなどを進化計算により最適化することで商品ごとの適切な在庫配置を算出でき、各物流センターの在庫量を抑制し最適な配置とすることが可能になります。 さらに、膨大な出荷実績データを対象とする在庫配置最適化の実現に不可欠な進化計算の高速化をタイムインターメディアが推進し、荷物の個口割れを低減、遠距離配送費を削減、在庫量の抑制、配送効率向上が実現します。

実証実験期間終了後は引き続き効果検証を行い、2022年7月までに全国の物流センターにおける在庫配置を常に最適化し続けるシステムの開発を目指してまいります。

<効果検証までのステップ>

<実証実験の概要>

対象期間 2021年12月1日(水)から約3ヵ月(予定)
対象センター DCMセンター、新砂センター、仙台DMC、ASKUL Logi PARK 横浜、名古屋センター、 ASKUL Value Center 関西、大阪DMC、ASKUL Logi PARK 福岡 (計8箇所:アスクルのBtoBの配送を担う物流センター)
検証内容 進化計算による各物流センターの在庫配置最適化に向け、以下効果検証を実施。
  • 最適化実験を実施し、最適解を導く
  • 最適解に基づいた商品の在庫配置変更
  • 荷物の個口数の低減
  • 在庫量の抑制
  • 配送費削減効果
  • 配送効率など

<アスクル株式会社概要>

所在地: 東京都江東区豊洲3-2-3 豊洲キュービックガーデン
代表者: 代表取締役社長 CEO 吉岡 晃
事業内容: 事業所向け(BtoB)、個人向け(BtoC)のEC事業
URL: https://www.askul.co.jp/kaisya/index.html

1993年に事業所向け通販サービス「ASKUL」事業、2012年には個人向けEC 「LOHACO」を開始。全国9拠点の自社EC物流センターから、全国に当日・翌日配送「明日来る」を実現しています。 商品開発からラストワンマイルまで担うバリューチェーンにおいて、メーカーやパートナーとの共創を推進し、データとテクノロジーを最大活用してサイバー・フィジカル両面からのビジネストランスフォーメーションを進めています。当社のパーパス〈仕事場とくらしと地球の明日(あす)に「うれしい」を届け続ける。〉を実現する社会インフラであり続けることを目指しています。

<国立大学法人電気通信大学概要>

所在地: 東京都調布市調布ヶ丘1-5-1
学長: 田野 俊一
学部・大学院: 情報理工学域(学部)、大学院情報理工学研究科
URL: https://www.uec.ac.jp/

電気通信大学は、2018年に創立100周年を迎えた国立大学です。情報・電気・通信を中核としつつ、物理工学、材料科学、生命科学、光科学、エレクトロニクス、ロボティクス、機械工学、メディアなど、理工学の基礎から応用まで、広範な分野での教育・研究を行っています。本学は、政府の提唱する「Society 5.0」を、人間知・機械知・自然知の融合により新たな価値(進化知)を創造し様々な課題を自律的に解決しながら発展し続ける「共創進化機能」を内包した未来社会、すなわち「共創進化スマート社会」と考え、その実現を推進する「共創進化スマート大学」を目指しています。

<株式会社タイムインターメディア概要>

所在地: 東京都新宿区四谷坂町12-22 VORT四谷坂町
代表者: 代表取締役社長 大矢 正典
事業内容: Web・モバイル開発、インフラ構築(Cloud/オンプレ)、AI・ブロックチェーン等の先端技術研究開発、教育機関向けICTソリューション提供
URL: https://www.timedia.co.jp/

タイムインターメディアとグループ会社であるバーチャレクス・コンサルティングで共同推進している進化計算AIプラットフォーム「天啓|TENKEI」(https://tenkei.ai/)は、同技術を用いた世界最大級のナンプレパズルが「ギネス世界記録™」にも認定されている、進化計算を活用するためのフレームワークです。 同社はバーチャレクス・ホールディングス(https://www.vx-holdings.com)傘下の一社であり、グループ全体としてはIT&コンサルティング事業と、コールセンター運営業務のアウトソーシング事業を推進しています。



進化計算AIプラットフォーム「天啓|TENKEI」(旧称:DARWIN)について

タイムインターメディアが提供する進化計算AIプラットフォーム「天啓|TENKEI」は、進化計算を活用するためのフレームワークであり、目的(課題)ごとにモデル化し、ソリューションとしてのシステムをご提供いたします。学習データが不要なため、すぐに使用を開始することが可能です。 多様な組み合わせがあるため時間を要している作業や、熟練の経験と知識を持った専門家でしか対応できない業務について、大幅な省力化とより進化した解決策をご提供いたします。 これまでに進化計算の肝となる遺伝的アルゴリズム、グリーディ算法(貪欲法)及びその混合などをモデル化した、出版社向けナンプレ問題の自動生成、高等教育機関向け時間割の自動生成、放送局CM順位づけ,宅地の自動区割りなどの実用化実績があります。 さらに現在もいくつかの分野で実証実験が進行中であり、業界的には初の試みとして注目を集めています。

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