書評:『ハミルトンと四元数』


2017年 11月 15日

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ハミルトンと四元数

人・数の体系・応用

著者    堀源一郎
出版社  海鳴社
定価   3,000円(本体)
頁数   360ページ
判型   A5判
ISBN   ISBN978-4-87525-243-6





四元数はどのくらいの人が知っているのだろうか?
quaternion(クオータニオン)ともいうのだが、少なくとも名前くらいは聞いたことがあるだろうか。
立体の回転などが簡単に記述できるので、CGなどでも使われるので、詳しい意味など知らないけれど使い方だけは知っている人が結構いるのかも知れない。

ハミルトンというと、ついハミルトニアンを思い出してしまう。
古典力学を終えたら解析力学を学んだと思うのだが、そこではハミルトニアンが出てくる。
つまり、ハミルトンに由来した物理量である。
そんなこともあって、解析力学はハミルトンの力学とも呼ばれる。
そして、これがその後の現代物理学に繋がっていったのだった(と書いてあった)。

ハミルトンはそういう意味で有名なのだが、もう1つ有名なのが四元数である。
複素数の場合、虚数i があり、i*i = -1 なのだが、iひとつだけでなく、i,j,kの3つが、
i*i = j*j = k*k = ijk = -1  となると決め、
四元数を  q = a + bi+cj+dk  と表すと、四元数は非可換体になる。
つまり、1,i,j,k を4つの単位元として四元数を表わすと、綺麗な数の体系が出来てしまう。

詳しくは、本書なり、その他の四元数の本やネットで調べようl。

さて、本書の構成に従って、読み終えたところまでの感想を書いておこうと思う。

第1部 ハミルトン
 ハミルトンの簡単な伝記である。
 とんでもない天才であったが、天才過ぎてなかなか理解してもらえなかった。

第2部 四元数とその性質
 四元数の定義、記法、様々な性質が紹介されている。
 この部分は丁寧に説明されているので、ちゃんと読めば分かると思われた。

第3部 四元数の応用
 まず幾何学への応用として、平面幾何学、正多面体、平面三角形と球面三角形 が紹介されている。
 このあたりから計算がしばしば省略されてくるので、ちょっと頑張って計算しないと分からなくなる。
 そして、式が面倒になるに従って、誤植も残っているので、しっかり読んでいこう。

 それから、物理学への応用の話になる。
 質点系の力学、剛体の力学、幾何光学、ローレンツ変換が紹介されるが、まだ剛体の力学を読むというか、計算しているところである。
 このあたりになると、物理の話も出てきて、次第次第に分からないことが増えていくのだが、わかる範囲で式を追っている。

総括としては、とにかく読み応えのある本で、なかなか読み終わらない。