汎用人工知能と妖怪と図書館の関係


2018年 02月 11日

電気通信大学(調布市)は、元は無線の学校として始まったのだが、通信、コンピュータなどに特化した大学として、IT業界では非常によく知られている。
ここ10年くらいはコンピュータ囲碁、コンピュータ大貧民の会場になったりというユニークな活動もある。
これらは、人工知能と深く関わっており、人工知能系の教員が充実している数少ない大学の1つである。

一昨年、人工知能先端研究センターが設立された。
電通大の100周年記念キャンパスのUECアライアンスセンターのオープンと共に、汎用人工知能研究拠点AIXがセンター内に設けられた。

このところ汎用人工知能という言葉が乱れ飛んでる。
今成果を挙げているのは、極めて狭い特定分野に特化した人工知能である。
しかし、それだと、分野毎に延々と作らねばないし、状況が変化したらまた作り直し、あるいは学習のやり直しになる。
そうではなくて、人間のように柔軟に様々なことに対応できるような汎用人工知能を電通大のAIXは目指しているようだ。

汎用人工知能と言われても、それだけではあまりにも漠然としている。
電通大のAIXのコンセプトが説明されているページがちゃんとあった。

AI妖怪

余計わからなくなっただろうか。
まず、背景を説明しておく必要がある。
電通大は、調布駅から徒歩5分のところにあるのだが、この町は長年水木しげるが住んでいた街であり、鬼太郎と仲間たちがいる商店街(飲み屋街)もあり、電通大の隣にある布多天神社には鬼太郎おみくじもある。
要するに、電通大は妖怪と切っても切れない関係にある。

AI妖怪の詳細については、私の理解はまだまだ不足している。
それで、「ゲゲゲの鬼太郎」や、「私はゲゲゲー神秘家水木しげる伝」で勉強しているところだ。

2017年春に、AIXキックオフ・シンポジウムがお台場で開催され、妖怪だけでなく、仮面女子も参加していた。
仮面女子も電通大にAIの勉強に来たりするようで、生協購買部の入り口にはボスターが貼ってある。
電通大はどこまでもオタクなのだ。

さて、本題に入ろう。

概念、コンセプトだけではよく分からないと思っていたら、なんと電通大の図書館がAI妖怪の実証実験の場になっているようなのだ。

電気通信大学附属図書館「UEC Ambient Intelligence Agora」
―人工知能研究との協働による知能化されたアクティブラーニング空間の構築―
  (大学図書館研究 107号、2017.12)


この実現には、文部科学省から金が出ている訳なのだが、
大学図書館における先進的な取組の実践例(Web版) 平成29年度
の一番最初の例として電通大の図書館が挙げられているのだ。
人工知能研究とのコラボレーションを実現する学修スペース 電気通信大学附属図書館「UEC Ambient Intelligence Agora」

最近、どこの大学も図書館を単に静かに本を読むだけの場所ではなく、グループ学習をしたり、イベントを開く場に変えつつある。
電通大の場合、そうい場を物理的に作るだけでなく、センサー、カメラ、マイクなどをいっぱい設置して、環境がどういう状況であるかはもちろん、勉強していて行き詰っていたら、妖怪がつぶやいたり、壁や机上にヒントになるメッセージ表示するなど、良い妖怪が行うであろう行動をAIを使って実現しようとしている。

動画データで人の動きを見ているのはもちろん、ズームすることで、どんな本を開いているか、何ページを開いているかなど、詳細なことまで分かるようなのだ。(現状では、ちょっと分解能不足かもしれない)

つまり、電通大の図書館で勉強すれば、AI妖怪がヘルプしてくれるの、安心して勉強ができる。

といっても、まだAI妖怪対応が始まったばかりであり、AI妖怪のおかげでとても助かるようになるのはまだ先らしい。